1m跳ぶのに必要なエネルギーはどのくらい?ジャンプに必要な筋力を知ろう!

皆さんはジャンプをする時に必要な力について物理的な観点で計算したことはあるでしょうか?
具体的には1mジャンプするためにはスクワット何㎏くらい挙げられる筋力が必要と思いますか?

今回はそんなちょっと小難しい物理の話をしていきたいと思います。

「数字は苦手だからなあ」
「計算式を見るだけで鳥肌がたってくる」

という人もいると思います。
僕自身あまり細かい計算をするのは好きではありません。
でもスポーツを突き詰めていくと必ずこの物理学にぶち当たります。

ジャンプを極めたいと考える人にとって避けることのできないこの物理学の世界、
理解すれば具体的にトレーニングの目標も数値として見えてくるかもしれません。
少し大変ですが、頑張って勉強していきましょう。

目次
①ジャンプは重力vs地面反力
 1.運動エネルギーは速さの2乗に比例する
 2.移動距離を使ったもう一つの計算方法
②本当に筋力だけを上げれば1m跳べるようになるのか?
 1.筋力がスピードに追い付いていない
 2.足以外を上手く使ってパワーを上げている
 3.ジャンプは様々な動作の連動で行われている

①ジャンプは重力vs地面反力

少し前提条件の話をします。
今回検証するジャンプに必要な筋力についてですが、実際の動きを細かく分析するとそれこそ気絶してしまいそうなので動きをシンプルなものに限定したいと思います。

まずジャンプは垂直跳びで計算を行います。
これは真上へのジャンプでないと計算が複雑になるからです。
そして筋力はスクワット何㎏という数値で表現し、腕振りなどによる細かい付加的要素は考えません。

最後に地面に加える力ですが、加えている間一定であると仮定します。
これも計算をシンプルにするためですね。

以上が前提条件です。
実際の動き、例えばリングジャンプなどの動きとは異なりますがそれでも目安の数値はわかるはずです。

1.運動エネルギーは速さの2乗に比例する

さてそれでは実際の計算に入っていきましょう。
計算するのはタイトルの通り1mジャンプするために必要なエネルギーです。

まずはエネルギー保存の法則を使って計算をしてみましょう。
高校で理系を選択していた人には少し懐かしいですね。笑

位置エネルギー(mgh)=運動エネルギー(1/2mv²)

真上への運動なので位置エネルギーは重力です。h=高さ、g=重力加速度

質量mの部隊が速さvで動いてる時のエネルギー

1/2mVo²=mgh

ここでh=1(m)、m=60(㎏)とします。

Vo²=2g

Vo=√(2g)…①

運動量と力積は等しい

物体の持つ運動量の変化(mV‛-mV)はその物体が受けた力積(Ft)に等しい

動き出しは速度0なので速度の変化(mV‛-mV)=mVo

Ft=mVo…②

①と②を合わせて、

Ft=m√2g

m=60なので、

m√(2g)≒831

Ft=831(N)

831Nというと質量でいうと約83㎏です。
つまりジャンプするまでの時間で83㎏の力を生み出す力が必要です。
ちなみにジャンプにかかる時間が0.3秒となると、

F×0.3=83

F=249

となるので、250㎏の力を地面にかける必要があります。
これは体重60㎏の人が190㎏のバーベルを担いでスクワットするのと同じ力です。
計算上は200㎏くらいのバーベルでスクワットする力が必要となりますね。

ちなみに時間をかけて跳ぶことができれば必要な力が少なくなるのですが、
イメージすればわかる通りゆっくり動作しても発揮できる力は大きくなりません。むしろ小さくなります。
この速さというのは自分でコントロールするものでなく、足の長さによって左右されるものです。

2.移動距離を使ったもう一つの計算方法

ジャンプにかかる時間というと少しイメージがしにくいですが、今後は時間を排除した計算です。

直立した状態の重心位置(地面から跳び上がる直前)を0とします。ここで、
しゃがんだ時に移動する重心の距離をd、必要な力をFとし、ジャンプする高さをhとします。

しゃがんで跳び上がるまでに一定の力を地面に加えたと仮定すると、
ジャンプ頂点での位置エネルギーと跳び上がるまでに行った仕事量は一致するので、

mgh=Fd

となります。
ここでm=60(㎏)とし、しゃがんだ時の重心位置の変動は0.25(m)とします。

ちなみに170㎝の人がスクワットするとだいたい25㎝くらいです。(筆者が自分のを測りました)

60×9.8×1=F×0.25

F=60×9.8×4=2352

計算の結果、体重170㎝体重60㎏の人が1m跳ぶのに必要なエネルギーは2352Nとなりました。
㎏に直すと240ですね。これも先程の結果に近い数値が出ました。

さて、必要な筋力がスクワット180~190㎏を挙げられる筋力とわかりました。
早速筋トレを始めましょう!
と言いたいところですが、ちょっと待ってください。

②本当に筋力だけを上げれば1m跳べるようになるのか?

もちろん60㎏の体重で200㎏近くのバーベルを持ち上げられたらすごい筋力です。
1mのジャンプも可能性が高い気がします。

しかし実際はそれだけの筋力があっても1m跳べない人がいます。
逆にそこまでの筋力がなくても1mの跳躍ができる人もいます。

その違いは何でしょう?
この違いもしっかり押さえなければ1mジャンプにはまだ届かないですね。

1.筋力にスピードが追い付いていない

200㎏のバーベルを持ち上げる力をバーベルを持たない状態で発揮したらどうなるでしょう?
体重は60㎏、重さは4分の1になるのでかなりのスピードで体が持ち上げられることが容易にイメージできますよね。

逆に言うとそれだけのスピードを体が出せなければその力は発揮できないということです。
そのスピードというのは体がしゃがんだ状態から立ち上がるスピード、もっというと筋肉が収縮して関節が伸びる速度です。

このスピードが出せない筋肉の場合はいくら重いものを持ち上げる力があっても負荷がない状態で同じ力を出すことはできません。

パワー=力×速さとはよく聞きますが、まさに両方のかけ合わせが必要ということですね。
普段から力を発揮しつつスピードも出す訓練をしていないとパワーは発揮できません。
パワートレーニングなどがまさにその訓練です。

2.足以外を上手く使ってパワーを上げている

逆に筋力が足りない人が高く跳べる場合を考えてみましょう。
ここではスクワットとジャンプの違いを考えてみます。

まず大きな違いは助走があることです。
助走のスピードをうまく使えれば筋力にパワーを上乗せすることができます。
これはジャンプの解説記事でも説明している内容ですね。
バスケやバレーボールなどはいわゆる垂直跳びではないので助走をどう行うかも重要な要素です。

次に腕振りがあることです。
その場で思い切り腕を振り上げると軽く地面から体が浮くのがわかると思います。
これは腕振りが地面に圧を加えていることの証明ですね。
これも先程の助走と合わせてパワーを上乗せできる要素です。重要なのはタイミングですね。

3.ジャンプは様々な動作の連動で行われている

このようにジャンプは単純な筋力だけでなく、スピードも大切です。
またいろんな動作によってパワーを重ねることで大きな運動を生み出しています。

大切なのはその運動をうまくかみ合わること、「連動」が大切ということです。
ただ筋力を上げればいい、ただ腕を振ればいい、ということではなく総合的に鍛える必要があります。

今回のテーマである1mジャンプに必要な筋力は60㎏で約200㎏ということがわかりました。
これは体重によって変わるのでそれぞれ計算していただきたいですが、ひとついえることは、
200㎏上げられる筋力があればそれ以上の筋力は必要なく、そこからはスピードや技術を鍛えるべきということです。

むしろ総合的に考えれば160㎏とかそのくらいの筋力で十分なのかもしれません。
大切なのは筋力のみに固執しないということですね。

今回の記事が何かの参考になれば幸いです。

では今回はこの辺で!
ありがとうございました!

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